インボイス制度の前に基本をおさえよう!確定申告ってなんなの?今覚えておくべき注意点とは?

インボイス制度の前に基本をおさえよう!確定申告ってなんなの?今覚えておくべき注意点とは?

インボイス制度の登録期日が3月中から9月中に延期されるなど、税金については話題に欠かない状況ですが、インボイス制度を理解するにはまず税金の申告の基本となる確定申告について理解しておくといいでしょう。

 

確定申告はフリーランスの方はもちろんのこと、会社員の方でも必要になる場面があります。税金について苦手意識のある方でも、生活するうえでは必要となる知識。今回は基本的な部分について、注意点も含めてご紹介します。

確定申告って何?

毎年3月が近づくと確定申告の話題を目にするようになります。通常、会社務めの人は確定申告をする必要はありません。毎年年末頃に会社が行う「年末調整」で手続きが完了するためです。

 

このことからも、会社勤めの人が確定申告について詳しく知らないということはよくあることです。先ずは確定申告が何かについてみていきましょう。

所得税の確定申告

一般的に言う確定申告とは「所得税の確定申告」です。所得税とはその名の通り、その人が得た収入「所得」にかかる税金のことです。会社務めの人が年末調整で行っているのは、この所得税を払いすぎていないかどうかの調整になります。

 

一方で、個人事業主、フリーランスの人は自分で所得税を計算し申告しないと所得税を納付することができません。また、会社務めの人であっても確定申告が必要な場合があります。

確定申告が必要な人とはどんな人なのか?

では具体的に確定申告が必要になる人とはどのような人でしょうか。基本として給与が二か所以上からある人、副業や事業所得がある人(フリーランス)がこれに当たります。

 

会社務めの人であっても、ふるさと納税をした人や医療費控除を受ける人も確定申告をする必要があります。その他、住宅ローン1年目の人、申告する年に会社を辞めた人、給与が2千万円以上ある人、不動産収入がある人、株や不動産を売却した人も確定申告が必要です。

確定申告を難しくする種類分け

確定申告が必要な人が分かったところで、実際に確定申告の内容について解説していきます。確定申告を難しいと感じる理由として、所得の種類や控除の種類分けが難しいという点もあげられるでしょう。ここでは各所得の種類や控除の種類を簡単に説明していきます。

所得の種類とは?

確定申告をする際に最初に記載するのは所得の種類です。確定申告の所得の種類には以下のようなものがあります。具体的にどういったものが該当するかを併記していますので、確定申告の際に参考にしてみてください。

給与所得 会社の給料、パート・アルバイトの給料
雑所得 年金、原稿料、講演料、印税、配達員やアフィリエイトでの収入など
配当所得 投資信託の収益
一時所得 保険の返戻金、賞金、宝くじ等当選金
事業所得 自営業での収入
不動産所得 土地建物の貸付による収入
利子所得 預金や公社債の利子
譲渡所得 不動産や株を譲渡して得た収入
退職所得 退職金
山林所得 山林の伐採売却

なお、雑所得に関しては今年から取り扱いが厳格化するなどの変更点がありましたので、後程詳しく説明します。

控除の種類とは?

確定申告をする際に間違えないようにしたいのが控除の部分です。控除を受けることで所得税が少なくなりますので、正確に記載しましょう。所得税の確定申告で受けられる控除の種類は以下の通りです。

医療費控除 10万を超える医療費を支払った
寄付金控除 ふるさと納税など寄付金を納付した
雑損控除 自然災害や火事での損失があった
社会保険料控除 健康保険や年金支払い
小規模企業共済等掛金控除 共済掛金の支払い、idecoなど
生命保険控除 保険料の支払い
地震保険控除 損害保険料の支払い
障碍者控除 障がい者を扶養している人
ひとり親控除 離婚した人やひとり親である人
勤労学生控除 夜間の大学に通い日中働いているなど、申告者自身が勤労学生である場合
配偶者控除 配偶者の所得が48万円以下の人
配偶者特別控除 配偶者の所得が48万1円~133万円以下の人
扶養控除 16歳以上の扶養親族(両親など)がいる人
基礎控除 全ての人が控除される48万円

ここで注意したいのは地震保険控除です。地震保険控除には火災保険は含まれないため、申告の際には間違えないように気を付けましょう。

確定申告の具体的な方法と注意点

所得や控除の大まかな種類分けが理解できたところで、実際に申告の方法をみていきましょう。細かい注意点がありますので、提出の際は確認しておくことが重要です。

確定申告に必要な書類

確定申告に必要になる書類は申告書の他、申告内容を証明するための源泉徴収票や保険料控除証明書などの原本です。

その他、医療費控除を受けたい人は医療費にかかるレシートや領収書を、寄付金控除を受けたい人はふるさと納税や赤十字に寄付した納付証明書など、受けたい控除に合わせて必要な証明書を添付していきます。

 

これらの添付書類は申告書に付属する添付書類台紙に貼って提出します。万が一の紛失等に備えて提出の際には念の為コピーを取っておくと良いでしょう。

確定申告書の提出方法

これらの必要書類が揃ったら、提出期日のうちに管轄の税務署に提出します。提出の方法は3つあります。

税務署の窓口にて提出する

管轄の税務署に直接持って行く方法です。仕事等で税務署の開庁時間内に提出に行けないという人は、時間外専用の投函口に投函することも可能です。

郵送する

管轄の税務署に行く時間が取れないという人は郵送での提出が可能です。後々、提出した・していないのトラブルを避けるためにも簡易書留など追跡が可能な方法で郵送することをおすすめします。

また郵送については当日消印有効です。提出期限の最終日間際に提出となる場合は、郵便窓口で必ず期限内の消印を押してもらうようにしてください。

電子申請する

スマホやパソコンから申請ができるe-Taxというシステムを利用する方法もあります。事前登録とカードリーダーを準備する必要がありますが、事業所得があるような青色申告申請者であれば控除額が10万円上乗せされるメリットがあります。

確定申告の内容に誤りを見つけてしまったら?

確定申告を無事に終えたと思ったら新しい領収書が出てきてしまったり、報酬の申告漏れを見つけてしまったりと誤りを発見する場合もあるかもしれません。そういったケースでは確定申告の修正をする必要があります。

 

修正の方法は提出期限以内の場合と、提出期限を過ぎてしまった場合とで変わります。

提出期日内であった場合

確定申告の提出期限がまだ残っているという場合は、再度確定申告をすれば問題ありません。申告書は後に出されたものを正式なものとして受理し、いわば内容を上書きしてくれるため特別な手続きを踏む必要はありません。

 

ただし注意しなければならないのは、修正する申告書においても手続きを「全てやり直すこと」が必要です。間違った箇所だけを書いて提出すればいいわけではないので気を付けてください。

提出期日を過ぎてしまった場合

提出期日を過ぎてから誤りに気づいた場合は税務署に対して更正の請求をし、修正の申告をする必要があります。

誤った申告により誤った金額の還付を既に受けてしまった場合は直ちに管轄の税務署に連絡をし、指示を仰ぐようにしてください。

令和5年の確定申告は変更点が沢山ある?今気を付けるべき点とは?

これまで確定申告の基礎についてご紹介しましたが、既に令和5年に申告する分からの変更点がいくつか決められています。

加えて、今後変更されるという「改正予告」もされています。今まで確定申告をしたことがあるという方でも重要となる変更点ですから、確認しておくことをおすすめします。

申告書Aの廃止

大きな変更点といえば、申告書Aが廃止され、申告書Bとほぼ同じになったことです。申告書を作成する際は「今まで申告書Aを使っていたのに見当たらない!」と慌てずに、新しくなった申告書で作成してください。

雑所得に関する変更

雑所得に関しても添付書面や保管書類の変更がありました。ひとつは令和4年分以降の前々年度の業務の収入金額(令和4年分の申告なら令和2年分の雑所得)が1千万円超の場合は収支内訳書を添付しなければならなくなり、また300万円超であれば現金預金取引等関係書類(作成・受領した請求書、領収書等書類)を保存しなければならなくなりました

住宅ローン控除に関する変更

住宅ローン控除では住宅の省エネ性能に応じて借入限度額が変わり、控除額の計算に使うパーセンテージが1%から0.7%に引き下げられました。一方で所得要件は3千万円以下から2千万円以下に変更されています。ただし、既に住宅ローン控除を受けている人には変更はなく、これから住宅を購入する人などに適用されます。

 

また、改正予告があるのもこの住宅ローン控除に関するもので、令和5年分の確定申告からは住宅購入に関する借入金等の残高証明書と工事請負契約書は添付不要となります。また令和6年からは一般住宅のうち一定の省エネ基準を受けないようなものは住宅ローン控除が受けられなくなります。住宅を購入する予定のある方は、購入前によく確認するようにしてください。

まとめ

私たちが行う一般的な確定申告は「所得税の確定申告」ですが、一方で今話題のインボイス制度が影響するのは「消費税の確定申告」です。似て非なるものですが、税金の知識の基本となる所得税の確定申告をまず理解することで、消費税の確定申告やインボイス制度の理解に繋がっていきます。

 

確定申告は申請にも細かな注意点があり、また毎年少しずつ改正が入るなど、常に新しい情報が必要になる分野でもあります。新しい情報にはアンテナを張って、毎年の確定申告も難なく進めていきましょう。

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